2019年03月19日

第4講 Fintech進展の為のインフラ(法制度) 概要【190319 法務(金融とIT)関連 その4】Fintech進展の為のインフラ(法制度) 概要

第4講 Fintech進展の為のインフラ(法制度) 概要
【190319 法務(金融とIT)関連 その4】Fintech進展の為のインフラ(法制度) 概要

科学技術ひいてはICTないしIT技術の発展は著しいものがあり、これは技術的に金融に応用することは、それほど困難でないと考えられる。しかし、金融の世界は、多層的な規制の塊であるといっても過言でない。技術的に可能であっても、これを金融の世界に実現するには、金融規制法や関連法制の海の中で生存できるようにデザインをされなければなりません。これがなかなか大変な事です。1970年代に金融の自由化が叫ばれて、これが実行に移していかれた当時も、「金融の自由化はループホール(抜け穴)の発見である」と言われたこともありました。その後、金融規制も緩和されていったのですが、これと同様に、Fintechも金融規制のないところ、緩やかなところ、あるいは金融規制法の掻い潜るようなところから実現されている。

我が国では、有価証券等はじめとする金融商品については、金融商品販売法の成立、同法の改正によって、同じ機能を有する取引について、いわゆる横串を刺す統一的な法制となっている。しかし、預金、貸付、資金決済といった銀行の固有業務に関する、金融法については、縦割りの様々な縦割りになっている。そのことが、Fintechの障害になる場合が数多くあります。
また、それらの法規範は、法律、政令、府省令という階層があり、さらにデファクトとして規範として機能する事務ガイドラインや監督指針があり、法律を除きこれらの各階層に、また法改正等の都度のパブリックコメントも事実上規範として機能することがある。さらに、法律上の認定協会等の業界団体による自主規制ルールおよびその階層があり、各法律に深い規範の階層がある。そして、各法律の立法趣旨を完徹するため、または脱法を許さないための下位規範による本来その法律の趣旨にとって本質的ではない少しの形式的な規制がFintechを妨げるという場合がある。
近時は、金融法の領域でも、ハードローに対するソフトローによる柔軟な規制への変化の流れも指摘されているものの、依然として細部では複雑なハードローの体系が激然と存在している。

この事情は他国でも同様のようであり、Fintechを重要な国家戦略と位置づける英国では、情報セキュリティーで用いられるサンド・ボックス(SANDBOX=砂場)の概念を当てはめ
Fintechについて各種規制法の適用を受けずにFintechの実証実験を可能するべく、Regulatory Sandboxの制度が活用されている。

我が国の国家戦略特別区域法の国家戦略特別区域がこのSANDBOXの発想に類似していますが、目下、同法で指定された事業は限られ、また、非適用とされる規制もきわめて限定的ですから、到底複雑で多層的な金融規制法が関係するFintechに対応することは困難であると思われる、なお、この点に関しては、
2018年に「生産性向上特別処置法」その他の関連法令が成立しており、新たなプロジェクト型「規制のサンドボックス」制度の創設およびその運用の進展が期待される状況である。

<参考:サンドボックス制度>
https://www.miyukiblog.com/archives/7352
https://www.meti.go.jp/press/2018/06/20180606001/20180606001.html(経産省)

また、米国では、Fintechの巨視的な、法と経済学の視点からの位置づけについて、前掲書『成長戦略論』の各論稿での提言があり、木下信行「我が国の成長戦略から見た本書の意義―――監訳者あとがきにかえて」同書375頁以下をご参照ただければ、その問題状況と我が国でも取り組むべき課題について大変参考になります。

<参考:書籍「成長戦略論」>
http://www.nttpub.co.jp/search/books/detail/100002379


posted by Blockchainer Ishigami at 15:13| Comment(0) | Fintech